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2010年5月24日 (月)

沢井一恵さん

僕の大好きな箏奏者、沢井一恵さんに
幸せにも最近2度も会う機会に恵まれた。

一度は4月パリへ発つ前日,東京のオペラシティで、
もう一度は5月パリから帰った翌日,同じく東京の
草月ホールで。

箏に興味のある方なら沢井忠夫、一恵夫妻の名を
知らない人はいないだろう。
お二人は沢井箏曲院の創立者で1970年代に
テレビのコマーシャルで有名になられた沢井忠夫さん
共々世界中で演奏をなさっている。

僕はこのお二人の箏の演奏を聴く機会がなければ、
きっと今でも箏はお正月や日本料理店で流れている
だけの面白くもない楽器だと思い続けていただろう。

1995年にパリ市立劇場のディレクターの依頼で
お箏の演奏アーチストを捜した事がある。
僕はその10年程前に聞いた長沢勝俊の作品で
お二人を知って以来、一度生で聞く機会を
得てみたいと思っていたので、劇場に日本では
このお二人を置いて他にいないと啖呵を切った。

細かい経緯は記憶に残っていないが、まず始めに
沢井一恵さんと沢井箏曲院のそうそうたるメンバーが
パリに来られ、千数百人満員のパリ市劇場が感動で湧いた。

そのとき聴いた沢井一恵さんの弾く17世紀に八橋検校の
名で書かれた六段とみだれで僕の箏に
対してもっていた印象は見事に飛び散ってしまい、
舞台袖で聞き終わり、戦慄で震える身体で、
箏も人間のエネルギー、感情の波動
が伝わり音が出る楽器だという認識を新たにした。

当たり前の様に思われるがそれまで聞いた事がある
箏の調べは石像のように冷たく微動だにしない
おおよそ人間の血は通っていない音の集合
の様にしか聞こえなかったので僕には詰まらなく、
退屈の2文字の代表楽器の一つで,<お箏!それだけは
堪忍しとおくれやす!>と言っていた。

良く耳にする<音楽は何でも好きですけど、シャンソンだけは
堪忍して!>と全く同じ事である。
これに関してはまた別の機会に書くとして、
とりあえずその日僕は大の箏ファンになり同時に
沢井一恵さんの音楽に傾倒してしまった。

それから1年してまたパリ市立劇場がもう一度
沢井一恵さんを招聘したいと言い出したので、
今回は何としても沢井忠夫さんにもいらして
頂きたいと思う僕の念力が通じたのか、どうか
今となっては,はっきりしないがともかくも
沢井両先生とご子息の沢井比可流さん、その上に
沢井箏曲院のメンバーの方々という大豪華キャスト
でのコンサートになった。

この日は沢井忠夫作曲の素晴らしい<焰>を始め、
宮城道雄の<瀬音>など僕にとっては初めてで,それ以来
ハマってしまう楽曲が並んでいた。

今でも第一曲目にお二人並んで立って弾かれた
<瀬音>が目に浮かぶ。
<焰>で会場全体が総立ちになりブラヴォーの
嵐に包まれた。

この日が初めて沢井忠夫を僕が目の前で観て,聞いた
感動の日で次の年にくも膜下で倒れ、翌年1997年に
59歳の若さで逝ってしまわれた。

僕の人生の中で生きていて良かったと思える
コンサート、ステージがほんの少しあるが
市立劇場でのお二人のコンサートはそのうちの
一つに数えている。

それ以来、沢井一恵さんとは親しくさせて頂く
幸せを得たがお目にかかる機会はなかなかない。

ジョーン・ケージからグヴァイドリーナ、
宮城道雄から八橋検校、沢井忠夫,ジャズから
クラシック、即興音楽まで弾いてしまい、
世界中から招聘され旅に出ておられる。

僕の日本での初めてのアルバム<恋の病>
の発表記念のミニコンサートが東京銀座の
山野楽器店のコンサート会場で行われた時
客席に沢井一恵さんの姿を見つけて心臓が
ぱくぱくした事を昨日の様に覚えている。

4月13日、東京オペラシティで、坂本龍一
が沢井一恵さんの為に書き下ろした,
<箏とオーケストラのための協奏曲>を佐渡裕率いる
兵庫文化センター管弦楽団をバックに演奏された。

四季を奏でる4つの箏の彼女の演奏は
1部のソフィア・グヴァイドリーナの作品
<樹影>共々素晴らしかった。

この日僕は厚かましく楽屋まで押し掛けて
沢井一恵さんをハグして来た。
そしてパリへ発ち,帰って来て草月ホールで
行われたダンサック+カルテット・ラチーノ・
アメリカーノの会場でまた沢井一恵さんに会う事が
出来た。この公演で沢井忠夫の<焰>を弦楽四重奏に編曲して
ラチノ・アメリカーノが弾き(この四重奏はパリの
サントウスタッシュ教会で聞いて以来僕の好きなグループ)
ダンサックが踊った。

終演後メキシコ大使館であったレセプションに
僕も招かれて行った。
誰も知らない顔ばかりの中に沢井一恵さんを見つけ
久し振りに色々話が出来た幸せな夜だった。

こっそりスナップをお見せします。

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日記」カテゴリの記事

コメント

happy01
ワサブローさん、こんにちは!
アーズローカスのご案内ありがとうございます。
会社は有給休暇をもらって☆
また和歌山から行かせていただく予定です♪

ところで沢井一恵さんのオペラシティでの演奏、
先日のTV番組「題名のない音楽会」で観ました!
テレビ画面を通してですが、沢井さんの演奏されている姿や
その演奏方法、迫力と幻想的な雰囲気にびっくりでした。
本当にすごく感動しました。
あの時あの会場にワサブローさんもいらっしゃったのですネ♪
私は恥ずかしながら勉強不足で
お箏のことも沢井一恵さんのことも無知でしたが、
あれからずっと気になっていたので…
思いがけずこちらのブログで色々なことを教えていただいて、
たいへん嬉しいです。ありがとうございました!
これからもよろしくお願い致します。

投稿: yuko | 2010年5月27日 (木) 12時02分

お久しぶりです。
沢井一恵さんのお名前が出てくるとは、びっくりしました。
こりゃぁ~ひとこと書かにゃならんでしょう(爆)
芸文の定期演奏会に行くようになって4年、
本年4月の公演も行きました。

坂本龍一:箏とオーケストラのための協奏曲(世界初演) 
       第1楽章~第4楽章
グバイドューリナ:「樹影にて」アジアの箏とオーケストラのための

指揮:佐渡裕
箏:沢井一恵
管弦楽:PAC

箏楽曲
(坂本龍一)はステージにセッティングされた4面の箏を順に冬・春・夏・秋と演奏。
(グバイドューリナ)は後半に2種類のコップやヴァイオリンの弓を使って絃をこする荒業。3面の箏を匠に演奏。

芸文の演奏会はこの公演時に33回を迎え、より内容濃くとの思いもあるようです。みなさんも一緒に、新しい音楽の扉を開いていきましょう!これ芸術監督さんのお考えであり、今回のセレクション(箏楽曲)もそのひとつ、リハーサルでも本日のプレトークでも発信していました。

箏の演奏に関する概念は覆されました。
が、二曲目のグバイドューリナ作品は理解の範ちゅうをはるかに超えて、些か空転してしまいました。

大好きな方にお会いできる喜びは、何ものにも勝る!
どんなにか心高ぶる・心躍る思いだったのでしょう。
ワサブローさんのファンもそういう思いですよ。きっと(爆)

投稿: レナ | 2010年5月31日 (月) 01時13分

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