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2008年7月 3日 (木)

街頭で歌いました

昨日野外特設会場というコンサートホール以外の場所で
初めて歌った。
今年は日仏友好150周年でその記念の催しが日本の各地で
開催されている。
そのうちの一つが東京八重洲駅で1週間、毎日色々な
フランスに関係のある方が
地下街に作られたステージでトークショーなり
ミニライブなりをするという事になっている。
出演されている方々すべて僕以外日本では
名前の知られている方のようだが僕はどなたも存じない。
まあご一緒するわけでもないので存じなくても
支障はなかったが、時々となり合わせに座っていて顔も名前も
知らなくて大変失礼をしてしまった事もいままでに
何度もあるので(そういうとき大方はなんで私の事を
あんたは知らないの?ときまって怪訝な顔される)
そんな時はせいぜい言葉少なめに振る舞う事にしている。
今回は元日本放送のアナウンサーで今はフリーで
仕事をしておられる小口絵里子さんが進行役で
僕は初めてお目にかかった。
気さくで奇麗な方で楽しくお話もさせて頂いた。
大勢の人が行き交う雑踏の中で歌うのは全く初めてで
始まるまでとても不安で
生まれて初めてステージを踏む様な気分だった。
昼間はトークショーと題されて小口さんの質問に答える様な
形で色々お話をした。そのあと2曲ほどカラオケで歌った。
僕はせいぜい数人が立ち止まり物見遊山に見て行かれるのだろう
と思っていた。
始まってステージに出てみると大勢の方がステージの前に
置かれた椅子に座ってられた。
さすがに昼間は食事に出て来られた人が大半の様なので
長くはとどまらず去って行かれる方が目立った。
僕は今まで歌いだしたら席を立つ人は誰もいない状態でしか
歌った事が無い。
ホールでもし途中に立って出てく人や立たなくても時計を
見てられるのが偶然目に入るとその他の何百人の方がきっちり
聞いて下さっていようともその時計の人に注意と目が
いってしまい退屈なのだろうとその日のすべてが
だめになった様に思ってしまう。
この日はそんな事言っていたらだめですよ、
用事があってみなさんこの地下街に来てられるんだから
ちょっと聞いて帰るとか立つとか当然の事なので!
とマネージャーから重々言い聞かされていたので座っている人が
入れ替わる度に、つまらなくて立たれるのではない、
用事があるので帰らはるんや、と自分自身に言い聞かせて
昼間は何とか務まった。
次が夕方6時から始まった。
5曲歌う事が決まっていてピアニストの鈴木さんも来てくれた。
昼間のトークショーは何とかクリヤー出来たが、
夜は一応ミニという形容詞が付いていてもライブである。
さあ!夜はどうなるか、控え室で折の中の熊(僕のイメージでは
熊よりコヨーテという感じかもしれませんが)のように
うろうろして全く落ちつきが無くなり、血の気も無くなり、
自信もまったくなくなっていた。
僕はどんなステージであれ困ったことにひどい上がり性で
開演15分前にはスタッフやミュージシャンに<帰りたい>とか
<今ここが火事になって中止になればいい>などと不謹慎な事を
一人でわめき散らしている。
それでもステージに上がってしまえば一人になれる空間が
待っているのがわかっているが今日は雑踏の中、街頭である、
ティッシュペーパーを配っている人の様に皆、
無視して行くんだろう、
きっと、と憂鬱状態が100パーセントに達した時に
呼ばれてステージに上がった。
まず驚いたのは昼間以上の人が椅子に座ってられた。
立って見ておられる方も含めて優に100名以上の方たちが
見ておられた。
もちろんその後ろには行き交う大勢の人たちが川の流れの様に
交互に通り過ぎて行く。
その通り過ぎて行く人たちを見ていると不思議に
気分が落ち着いて来た。
映画の1シーンの中にいる様な感じがしてその流れに身を
ゆだねるような気分で歌い始めると歌は遠くにまで
流れに乗って飛んで行った。
茨木のり子さんの詩、わたしが一番きれいだったときを
このような環境で歌えるとは思ってもいなかった。
人の流れの中に柱に背を持たせてじっと聞き入って
下さっている方がいた。
その前を、その後ろを多くの人が通り過ぎて行くのに
その人はじっと僕の方を見つめながらこの茨木さんの
怒りの叙情詩の一語一句を体全体でつかむ様に聞いてられた。
この夜、僕の歌はその大勢の人の流れの中に沈まずに
水中花のごとく
一気に咲いたような気がして嬉しかった。

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