« タンタンの切手 | トップページ | 7月14日と巴里祭 »

2007年6月 3日 (日)

パリでのバーゲン

バーゲンシーズンを前にして、ある有名ブランドの
顧客バーゲンに誘われて出かけた。
日本の様子は知らないがフランスではこのバーゲン
というものの特殊な一つの文化が出来上がっている程
みんながそれぞれの趣味と懐具合に合わせて一様に
バーゲンに出かけていく。
フランスでのバーゲン期間は1月と7月でこれは
法律によって決められている。
始まる日も終わる日も決まっていてそれを破ると
大変な罰金が科せられる。
その期間になると有名無名を問わずすべての店、
ちろんエルメスもシャネルもプラダもサンローランも
あらゆるブランドの店もすべてバーゲンになる。
もっともエルメスなどの超一流の店は普段の店は
そのままで2階などでバーゲンが行われる。
日本と違うもう一つの所は洋服屋だけではなくあらゆる
種類の店がバーゲンになる。
本屋も文房具屋も電化製品の店も靴屋も。
もちろんバーゲンをしない店もある。
不動産などは昨日まで3000万円で売りに出ていた
アパートが急に2000万円でバーゲンに出されると
いうことは勿論無い。
今日のバーゲンは顧客だけを対象としたもので一般に
行われるバーゲンとは全く関係はないがそれでも
一応年に2回決まった時期に行われる。
招待状に書かれていた時間より1時間前についてみると
既にもう100人くらいの人の列が出来ていた。
服を買うのに並んでまでと思ったがわざわざ来たので
今更帰るのもと思い並んだ。1時間並んで入り口が開き、
それぞれが身分証明書を提示して入れてもらえた。
本当に<入れてもらえた>という感じだった。
これも日本と違うところで店は品物をお客に売ってやり、
お客は売っていただくという精神がフランスには
まだ生きている。もちろん僕がフランスに初めて来た
34年前と比べると信じられないくらい商売という面での
フランス人の精神も変化したがまだまだ個人的には
<おおきに。ありがとうございます>と
へりくだるまではいかない人達も多く居る。
この点ではパリジャンは京都人に似ている。
京都も隣の大阪とは大いに違い、伝統的な店では
<すんまへん、ちょっとこれいただけまっしゃろか?>と
お客がへりくだって、店の主人は<なんどす?
あ、これどすか、ちょっとまっとおくれやす>と言う
返答が帰ってくることもしばしある。
お客が<すんまへん>とあやまって買っていただく方が
<なんどす?>と高飛車にでる。僕なんかは店に
お客が入って<すみません>といっているのに
<なんどす?>とはなんや!<はあ!何しまひょ!?>と
言うのが当然であろうとあきれることがある。
パリはこれとまったく同じリアクションなのである。
ちょっと話がそれたがバーゲン会場に入り上着は脱がされ
クロークに預けて必要な貴重品は鞄から出して与えられた
透明のナイロンのポシェットに入れて肩から下げて
鞄も預けて、招待状の半券をなくさないように
そのポシェットにいれて会場へ入ると僕は入り口に
置いてある白い大きな買い物袋を一つ取り、
一目散に男性物のコーナーに走った。
何度かのバーゲンの経験で、入るとすぐにとにかく
目当ての商品の所に走り、目についたこれという物を
すべてつかんで袋に入れてあとでゆっくり品定めをして
買う物とやめる物を選ぶ、ということも覚えていたので
今回も、とにかく形と色が気に入った物は片っ端から
つかんで袋に入れていった。
ズボンもシャツもコートもセーターもジャケットも
カーデガンもネクタイもetc etc。
なんかスリか万引きの様な感じで山のように色んな物が
入った袋を抱えてまた一目散に会場の鏡を見つけて急いで
ジャケットやシャツを着てみて、コートを羽織り
ネクタイを首に巻き、我ながら手際のいい早業である。
もちろんここには試着室などはない。
だれもがそこら中で裸になっている。
これはフランスのバーゲン会場どこでも同じである。
もちろん店によってはもとから試着室のあるところは
そこに長蛇の列が出来ることになるが今日の様なロフト
というか倉庫でのバーゲンの場合はそこかしこで適当に
脱いで試着をする以外は方法がない。
僕はあたりにふと目をやって驚いた。
大衆浴場の女湯の脱衣場に間違って入ったのかと思って
ドキッとした。そこは女性物の洋服のまっただ中であたりは
女性客でごった返していてそこかしこが試着中の女性で
あふれていた。みなさんスカートやパンタロンや
(フランス語でズボンはパンタロンという)ジャケットや
Tシャツやあらゆる物を試着中でほとんど裸でパンツというか
パンティというのか下着1枚で奮闘している人も多く、
勿論人によってはブラジャーもつけていない人もいて
通常公衆の面前では起こりえない光景が繰り広げられていた。
勿論この光景もこの日特別な物ではなく、
僕も何度も出くわしているがやはり無関心でいられない。
よく観察するとその下着1枚の方達にかぎって早う試着して
服を着てほしいと思うようなお年のそれもその身体を
どのようにしてそんな細い服に入れられるの?と
思う様な巨体の方が多くインドのジャングルで象の群れが
水浴びをしている光景を思い出さずにはいられなかった。
(すみません!)
あまりの勢いに押されてその横でズボンは脱げず
人目が少し隠れる所に一つあった鏡を見つけて走り込み
ズボンを試着しジャケットも何枚も脱いだり着たりして
気に入らない物をぽいぽいと別の袋に入れ込んで15分で
20枚のジャケット、10本のズボン、20枚のシャツ、
5枚のコート8枚のセーターを試着して結局ズボン1本、
コート1枚、シャツ1枚を選んだ。
ぐずぐずしていると鏡を他の人に占領されるのでとにかく
早くしなければならないのもこのバーゲンで
勝ち抜く技の一つである。
ここまで来ると呼吸も荒くなってくる。
後残っているのは女性物のスカーフである。
この店のスカーフは定評があって通常かなり高い値段が
しているが今日は半額以上で買えるというので
友人に頼まれていた。そのスカーフが山のように積まれた
大きな段ボール箱は次の部屋にありもう既に黒山の
人だかりがしていてみんな頭を突っ込んでその中で
欲しい物をかき集めていた。僕は急いでそこに向かい人を
かき分けて同じように頭を突っ込んでめぼしい柄を探した。
一つこれはという柄が見えたのでそれをつかみ持ち上げたが
何かに引っかかっているようでなかなか持ち上がらない。
おかしいなと思いながらぐっと引き上げると<いたい!!
何なさるの!>という悲鳴と一緒に
おばさんの頭がついて来た。
要するに,僕がつかんだのは商品でなくてそのおばさんが
首に巻いていたスカーフを間違えてつかんで
引っ張ってしまった。びっくりして手を離して急いで
別の所に走り私は何も関係ございませんという顔で
別の商品を見ているふりをしたが
心臓がぱくぱくと止まらなかった。
もう一度そこに戻る気には到底なれず、
先ほど選んだ自分の服の入った袋を抱えて
急いでレジに走りそこでまた40分並んで会計を済ませ、
クロークで預けた服や鞄を返してもらって外に出た。
息苦しさから解放されてどっと疲れを感じた。
2時間のステージよりもずっとネネルギーがいる
パリでのバーゲンだった。

|

« タンタンの切手 | トップページ | 7月14日と巴里祭 »

日記」カテゴリの記事

コメント

久しぶりに大笑いさせていただきました。ワサブロー節炸裂という感じで、キーを打つスピードが上がっていらっしゃるのがよく分かりました。
ステージのワサブローさんもこの感じが出ていらっしゃるときが好きです。あ、もちろん、そうじゃないときのスタイルあってこそですよ?
フランスの方は個人主義だとよくお聞きしますが、本当にそうなんですね。なにか自分に降りかかったら全精力を傾けて対応するのでしょう。・・・スカーフを引っ張ってしまったご婦人の反撃が無くて良かったですね!

投稿: MarioKano | 2007年6月 5日 (火) 17時23分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1220106/29685637

この記事へのトラックバック一覧です: パリでのバーゲン:

« タンタンの切手 | トップページ | 7月14日と巴里祭 »