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2007年5月21日 (月)

タンタンの切手

タンタンの切手がフランスで発売された。
10年程前にも出たことがあったがその時は
タンタンがミルゥと走っている場面の1枚だけで
その他の人物は切手にはなってなかった。
今回発売の物はハンチングをかぶったタンタンの隣に
ミルゥがいてその前に大きなスーツケースが置いてあるので
タンタンもミルーもほとんど顔しか見えない。
その他トウールヌソル博士、デユポン・デユポンの二人、
ソプラノ歌手のカスタフィオールそれにご存知
キャプテン・アドック、もう一人は<青い蓮>の話に
出てくる中国人の少年チャンの6人で6枚が1シートに
なっている。タンタンの主要人物勢揃いだ。

Kitte もちろん1枚ずつでも買えるので宛名によって貼る切手の
人物を選べる。1枚0,53ユーロでフランス国内の通常切手
の値段なので日本に出す場合はこれに0,32ユーロの切手を
足して貼らなければならない。
と書いてもちょっと待ってタンタンて何?
とおっしゃる方も多いかも知れないので少し説明をさせて
いただく。
タンタンは1929年にベルギーの漫画家エルジェによって
生まれた漫画の主人公でフリーのルポライター、
金髪の短髪で前髪が額の上で一つにまとまって小さい
バナナが立っているようになった髪型に茶色の
ニッカボッカー、白いシャツの上に水色のセーターが
トレードマークで時にクリーム色のトレンチコートを
着てハンチングも被っている。年齢不詳少年のようだが
18、9歳だろうか。彼には愛犬のミルゥ
(日本ではスノーウィと呼ばれているらしい)
というホワイトホックステリアがいつも一緒にいる。

Tantan2 最初は子ども向けの雑誌に連載されていたが
1930年代にタンタンの冒険<les aventures de Tintin>
というアルバムになりフランス版は1948年に発売された。
1976年の<タンタンとピカロ>まで22冊が
刊行されている。僕は漫画に特別興味がないが
このタンタンだけは別でフランスで初めて読んで以来
現在までずっと僕の愛読書であり続けている。
毎回起こる不思議な事件がタンタンの知恵と勇気と行動力
で最後には解決されるのだがその物語の背景や
シチュエーションがファンタジーの世界の中ではなく
現実の世界にあって科学的根拠もデーターも実にきっちり
とした中で展開されるところにおもしろさがある。
今でも毎回の日本行きの長距離便の空の旅にはいつも
1、2冊手荷物に入れて持って行く。
何冊かをのぞいてそれぞれの話は1冊で完結しているのも
読みやすい理由のひとつ。すべての話が非常に良く出来ていて
年齢を問わず楽しめる。楽しめると言っても
ペラペラとページをめくって10分で読める物ではなく
じっくり映画を見るように話に惹かれながら読んでいく。
タンタンたちと一緒に旅をして知らない国に行き素晴らしい
発見をする。まさにジュル・ベルヌの世界一周に旅立つ様な
ものだ。哲学者のミッシェル・セールは
<(タンタンとカスタフィオールの宝石)は私に
コミュニケーションの理論について、今までに読んだ退屈で
其の上になんの役にも立たない100册の本以上に多くの
ものを教えてくれたし(壊れた耳)では心理学のフェチ
シスムをフロイトを読むより多く学んだ>と言っている。
ただ笑うだけでなく,ここには学ぶ楽しみがある。
それぞれの人物もいきいきと個性的に描かれ、デッサンも
すばらしい。映画の総天然色という時代を思わせる色使いも
僕の大好きな物でひとこまひとこまを額に入れておきたい
程である。タンタンの一番の魅力はその物語の展開と
ディアローグ、文章だろう。一つ一つの台詞がきっちり
書かれていてどんなにユーモラスな場面でも
品のない俗語でお茶を濁すことなど一つもない。
勿論これは原作者のエルジェ氏の人格と教養と
センスとエスプリに因っている。
僕はこのタンタンのの冒険のすべての本で数えられない程
多くの言い回しと美しいフランス語の文章を学んだ。
美しいと言っても文学的な難しい文章ではなく、
またスノッブな持って回ったような言い回しではなく
簡潔で正確な文章である。
僕が外国人だからではなくフランス人の子供達もタンタンで
数多くの言葉を学び、大人になってからもそのしゃれた
エスプリの利いた文章をおおいに味わえるのがこの漫画の
魅力である。タンタンのまじめな台詞、トウールヌソル博士の
狂った言葉、アドック船長の怒りの場面で機関銃のように
口から出てくる造語の数々は吹き出さずには読めない。
タンタンをフランス語で読めることだけでもフランス語を
学んで良かったと思ってしまう程である。
フランス語を学ぶ方は是非読んでほしい。
まさしく楽しみながら学べる最高の教材だ。
<漫画、MANGA>という日本語がフランス語の中に
浸透して普通に使われるようになり日本の漫画を含めて
フランスにも漫画文化が大きく出来た現在でも
1930年生まれのこのタンタンには世界中にファンがいて
25以上の言語に翻訳されている。
ドラえもんの日本での人気と比べてもらえば良いかもしれないが
タンタンワールドはそこにインテリの要素が加味されていると
言えば良いだろうか。
勿論日本にもタンティノフィルが沢山いる。
アルバムもすべてではないが何冊も日本語に訳されて
出版されている。日本語の翻訳でも読んでみたが残念ながら
フランス語での躍動が言葉にない。
これは翻訳の善し悪しの問題ではなく
きっとタンタン一族の生の躍動が日本語という言語では
表しにくいということなんだろう。
東京を始め京都にもタンタンショップがあって
ストラップなど色んなグッズもアルバムも手に入れられる。
僕も日本に帰ると1回は京都か東京のタンタンショップを訪れて
フランスにはないものを見つけるのを楽しみの一つとしている。
昨年末から今年の2月にかけてパリのポンピドゥセンターで
1983年に亡くなったタンタンの父親<エルジェ展>が
開催されていた。僕は昨年末にもちろん出かけて数百点にも
及ぶ原画を楽しみ始めて目にするエルジェの写真や逸話を
堪能して帰って来た。多くの機会にベルギー人を笑い者の
種にするフランス人もタンタンには大いに敬意をはらっている。
そうそう先日20年以上大事にパリのアパートに置いてあった
僕の家宝の一つ、タンタンの頭像を京都に置いておきたくて
壊さないように満身の注意をはらって手に抱えて持って帰った。

Tantan でも今こうしてパリに居るとその頭像が無いのが
寂しくて仕方が無い。
それに地震のことを考えると地震のないパリに置いておくべき
だったかも、と少し後悔と心配の入り交じった
複雑な心境である。
タンタンのいくつかのサイトを紹介しておこう。
日本語とフランス語のものがあるのでお好きな言語で
読んでいただければいいかなと思って。
http://www.d1.dion.ne.jp/~iku_/tintin.htm
http://www.tintin.co.jp/
http://zittersheim.ecole.free.fr/Rubriques/Sites/tintin/

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コメント

おはようございます
はじめまして!
三輪と申します

今朝 TV『題名のない音楽会』放送中 France
ベルギーマンガにTINTIN
というとても好きな本がある
というお話を耳にして、私は、何故だか興味を持ちました
TINTINのキーワードで検索していたところ、貴殿のページに出会いました♪
タンタンを全く知らない素人の私には、とても幸せでした。貴殿のページに出会えたこと!!
タンタンとは〜からはじまっていろんな情報を得ることができたんですものね(=^▽^=)
感謝しております
ありがとうございました取り急ぎ、お礼申し上げます☆(*^ー^)ノ

投稿: 三輪 嘉子 | 2008年3月 2日 (日) 10時06分

恥ずかしながら、、、、、

私の書を 差し上げた事があります
大きなものを小さくたたみ しわしわだったと思います

渡辺歌子さんのスタジオでの事です
何回かステージを 観てます
大好きです
どんなに フランス語で歌っても 日本を感じます
<タンタン>って ワサブローさんに似て・・・・

おっと 図々しいことを!ごめんなさい

投稿: さくら二夕 | 2008年3月 2日 (日) 11時20分

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